2024年04月30日

立川に不動産を所有する方へお勧めの相続税対策

立川市は、北多摩地区で最大の都市であり、立川駅周辺には大型商業施設やオフィスビルが集積し、多摩地区でも一際にぎわいを見せる都市です。一方で、都心のベッドタウンとしての一面を持っており、住宅地として非常に人気の都市でもあります。

こんな立川に不動産を所有する方のための相続税対策をご紹介します。

1.立川市の不動産の傾向

最初に、立川市の不動産の傾向を見てみましょう。

1-1.都心部へのアクセスが抜群

立川市の中心にある「立川駅」はターミナル駅として知られており、中央線、青梅線、南武線の3路線が乗り入れています。JR東日本によると、2022年の立川駅の1日平均乗車人数は約144000人にのぼり、JR東日本エリア内での乗車人員ランキング14位になっています。

立川駅から新宿までは特別快速で30分かからないため、都心への通勤にも便利な立地で都心のベッドタウンとして人気があります。

1-2.立川駅周辺の開発が進んでいる

2015年以降、立川駅周辺の都市開発が急ピッチで進められており、ららぽーと立川立飛ショッピングパークをはじめとした大型商業施設が建設されています。東京都内から人を呼ぶ施設ができることで、立川市の不動産価格にも良い影響を与えることでしょう。

1-3.人口は増加傾向

2018年の推計では、立川市の人口は2025年に184,839人になり、ピークに達すると予測されていましたが、2023年の推計では2028年に186,390人で人口のピークを迎え、その後は減少を続ける予測になっています。都市開発などの影響により、立川市の人口の流れが改善されているため、不動産需要も十分見込まれます

出典:立川市「立川市第5次長期総合計画策定のための将来人口推計調査

1-4.農地面積は北多摩地区 17 市で最も広い面積

立川市の農地面積は、北多摩地区17市で最も広く、平成30年の統計では255.8haの農地面積があり、341の農家数があります。農業産出額においても109,500万円となっており、北多摩地区で最も多い産出額です。

都市近郊の農家は、消費者と近く、新鮮な農作物を供給できるというメリットがありますが、代替わりの際の相続税などの問題を事前に検討しなければならないなどの課題もあります。

2.不動産所有が相続税対策になる理由

相続税の計算では、現金や預金などで財産を残すよりも不動産として財産を残す方が相続税額を抑えることができるため、不動産の所有は相続税対策として有効な方法です。

なぜ不動産を所有していた方が相続税額を抑えられるかというと、現預金と不動産とでは「相続税評価額の計算方法が違う」からです。

例えば、現預金を1億円持っている場合の相続税評価額は1億円であるのに対し、時価1億円の不動産を持っている場合の相続税評価額は時価の8割程度、8,000万円になります。つまり、現金1億円の相続財産よりも時価1億円の不動産の方が2,000万円も相続税評価額が少なくなり、その分の相続税も少なくなります。

ただし、不動産の相続税評価額は不動産がある地域によって土地の計算方法が異なり、必ずしも時価の8割程度になるわけではありません。建物と土地の相続税評価額の算出方法を簡単に見ていきましょう。

2-1.建物の相続税評価方法

建物の相続税評価額は、市区町村などの地方自治体が課す固定資産税評価額そのものになります。

建物の固定資産税評価額は、現状で同じものを建築した際の価格である「再建築価格」の5070%程度で算出されるため、基本的には実際の時価よりも低い価格になります。

また、第三者に貸している賃貸物件は、固定資産税評価額からさらに借家権割合に賃貸割合を乗じたものを差し引くことができるため、ご自宅よりも相続税評価額を下げることができ、相続税対策として有効です。

2-2.土地の相続税評価方法

土地の相続税評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。土地がある地域によって使用する計算方式が国税局により決められています。

路線価方式

路線価方式は、土地が隣接する路線に付されている「路線価」に土地の面積を乗じて相続税評価額を計算する方法です。

計算方法は単純ですが、土地の利用方法や土地の地形などによって様々な減額要因が用意されているため、実際に正確な相続税評価額を算出するためには税法や不動産に関する知識が必要になります。

倍率方式

倍率方式は、主に都市部以外の土地の相続税評価額の計算に利用される方法です。固定資産税評価額に国税庁が定めた「倍率」を乗じて計算します。地形などを気にする必要がないため、路線価よりもシンプルで簡単な計算方法です。

土地の相続税評価額は地域や地形などで様々ですが、平均して時価の8割程度になります。土地は変動が大きいものであるため、相続税評価額が時価よりも高くならないように設定されています。

3.不動産を利用した相続税対策のポイント

立川で不動産を利用して相続税対策を行う際には、次の点に着目して対策を進めていきましょう。

3-1.生前贈与により相続時の遺産を減らす

立川市に所有する不動産の時価が今後上がることが予想される場合には「生前贈与」が効果的です。相続税は、相続発生日(亡くなった日)の不動産の相続税評価額で計算されますが、贈与税は贈与した日の相続税評価額で計算されます。

つまり、現在の不動産の評価額は高くないが、将来的に地価が変動し、評価額が高くなると見込まれている不動産は、生前贈与を行うことで結果的に相続税の節税に繋がります

暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを選択するかは条件次第

生前贈与は「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つの方法があり、暦年課税は年間110万円の基礎控除を超える場合に贈与税が課税され、贈与者が亡くなる前7年以内に贈与された財産は相続財産として持ち戻されます。

60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する場合には「相続時精算課税制度」を選択することができます。相続時精算課税制度は、贈与時に110万円基礎控除+2,500万円までの非課税枠があり、贈与税額を抑えることができます。ただし、基礎控除内の贈与を除く、贈与財産を相続時に加算しなければなりません。

どちらの生前贈与の方法であっても将来的に時価が上昇する不動産の相続税対策として有効ですが、相続時精算課税制度の方が贈与時に2,500万円の非課税枠を利用し、少ない税負担で財産を移転することができるため効果的です。

ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると暦年課税に戻れないデメリットや暦年課税は7年を超えると持ち戻しの計算が必要ないなど、一概にどちらが相続税対策として有効かを判断することは困難です。不動産の生前贈与を検討する場合は専門家に相談しましょう。

3-2.小規模宅地等の特例の要件を満たすようにする

相続税には、被相続人の宅地の相続税評価額を最大で80%減額することができる小規模宅地等の特例」があります。小規模宅地等の特例は、相続税評価額の計算で最も重要になる特例であり、利用できるかどうかで相続税額に大きな影響を与えます。

小規模宅地等の特例には、その宅地を相続する人の要件などがあり、要件を満たしていなければ特例を利用することはできません。事前に小規模宅地等の特例の要件を満たしているかどうか確認するようにしましょう。

3-3.借入金で賃貸物件を経営

新たに賃貸物件などの収益物件を購入する場合には、自己資金で購入するよりも金融機関から借入れを行って購入するほうが有利になるケースがあります。借入れにより不動産を購入すると、購入した不動産の相続税評価額は賃貸物件としての評価を行うため、購入金額よりも低くなります。一方、相続財産で負債になる借入金は残額そのもので評価を行うため、結果的に相続財産を減らすことができます。

ただし、相続人が借入金を相続することになりますので、事前に相続人との十分な話し合いが必要不可欠です。

3階建以上の区分所有マンションは大幅な節税効果が見込めない

ただし、区分所有マンションに投資する際には、慎重に検討する必要があります。

202411日より、3階建以上の区分所有マンションを対象にした新ルールが導入され、対象になるマンションの相続税評価額が引き上げられています。

このルールはタワーマンションの時価と相続税評価額の「乖離」を利用した過度な相続税の節税を防止するために制定されたものですが、タワーマンション以外であっても3階建以上の区分所有マンションが対象です。

規制の対象になるとマンションの市場価格と相続税評価額の乖離率が1.67倍以上ある場合には、相続税評価額が市場価格の60%になるように補正されることになり、大幅な節税効果は見込めません。

3-4.賃貸物件は入居率を上げる

賃貸物件の相続税評価額の計算では、借家権割合に賃貸割合を乗じたものを差し引くことができるため「賃貸割合を上げる=入居率を上げる」ことが重要です。入居率を上げることで賃貸物件の相続税評価額を下げることができます

ただし、相続発生時にたまたま空室になっている場合は、一時的なものとして賃貸割合に含めることが可能です。

3-5.資産を法人化(不動産保有会社設立)

相続人が法人を設立し、被相続人が所有する賃貸物件の建物を法人に移すことで相続税対策が可能になります。

また、相続人に法人から役員報酬を支給することで法人税を節税しながら相続人への財産移転を行うことができます。ただし、法人が建物を買い取る資金を用意しなければならず、建物の所有権移転登記も必要になるというデメリットもあります。

4.農地の相続税対策

立川市で都市農業を行っている方は、相続が発生すると農地の相続税評価額が高いことから高額な相続税が発生し、農業経営の存続が困難になってしまうおそれがあります。相続税では、相続後に相続人が農業を継続して続けることを要件とした「農地の納税猶予の特例」が設けられています。

農地の納税猶予の特例には、亡くなった方や相続人に細かい要件があり、利用を検討する場合には事前に税理士に相談されることをおすすめします。

まとめ

ここまで、立川に不動産を所有する方のための相続税対策をご紹介しました。

不動産を使った相続税対策には、様々な方法がありますが、中には税理士など専門家に相談しながら進めなければ難しいものもあります。

当事務所は、長年にわたり相続税に携わってきた会計事務所です。行政書士や弁護士との連携で税務以外の相続についてもワンストップでご相談いただけます。

立川で相続税対策をお考えの不動産オーナーがいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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